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改善基準告示トラック編、月284時間の運用は20日点検で決まる

中山 蒼9分で読めます
改善基準告示トラック編、月284時間の運用は20日点検で決まる
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この記事の要約

改善基準告示でトラック運転者の拘束時間は原則1か月284時間・1年3,300時間・1日13時間までです。令和7年の監督指導では53.1%の事業場で告示違反が見つかり、最大拘束時間と休息期間の違反が上位でした。毎月20日に累計から月末の見込みを出す「20日点検」の試算式と、罰則が無くても行政処分につながる仕組みを整理しました。2026年9月更新

改善基準告示でトラック運転者の拘束時間は、原則1か月284時間・1日13時間が上限です。結論は、毎月20日に累計を見て月末の見込みを出せば、違反の多くは前もって防げるということです。

厚生労働省が2026年8月6日に公表した令和7年の監督指導では、自動車運転者を使う4,123事業場のうち53.1%で改善基準告示の違反が見つかりました。11月の過重労働解消キャンペーンを前に、自社の数字を確かめておきたい時期です。

本記事では、月の途中で累計を確かめる手順を「20日点検」と呼びます。月末に締めてから違反に気づくのではなく、残り約10日で配車と休みを動かせるうちに見込みを出す考え方です。合同会社GYAKUTENは運送会社向けに勤務と出庫時間を一元管理するシステムを提供しており、その現場で使う見方を手順にしました。

この記事でわかること

  • トラックの拘束時間・休息期間・運転時間の上限
  • 監督指導で多い違反の順番と、11月に起きること
  • 改善基準告示の違反が罰則なしでは済まない理由
  • エクセルで回せる20日点検の試算式

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改善基準告示とは?トラックの拘束時間と休息期間の上限

改善基準告示とは、トラックなど自動車運転者の拘束時間・休息期間・運転時間の上限を定めた厚生労働大臣の告示です。トラックは2024年4月1日から改正後の基準が適用され、拘束時間は原則1年3,300時間・1か月284時間です。

拘束時間は運転だけでなく、荷待ち・休憩・仮眠も含めた始業から終業までの時間を指します。厚生労働省のポータルサイトによると、労使協定があれば1年3,400時間・1か月310時間まで延ばせますが、延長できるのは年6か月までです(厚生労働省 自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト)。2026年9月時点でも、この数値が現行の基準です。

項目

原則

例外・上限

1年の拘束時間

3,300時間

労使協定で3,400時間

1か月の拘束時間

284時間

労使協定で310時間(年6か月まで)

1日の拘束時間

13時間

最大15時間(長距離は週2回まで16時間)

休息期間

継続11時間以上が努力義務

下限9時間

運転時間

2日平均で1日9時間

2週平均で1週44時間

連続運転時間

4時間まで

SA等に止められない場合は30分延長可

見落としやすいのは、月と年の上限が同時にかかる点です。毎月284時間ぎりぎりで走ると、284時間×12か月=3,408時間となり、年3,300時間を108時間超えてしまいます。月の上限だけを見ていても守れない、ということです。

改善基準告示の違反で、トラック事業者に何が起きる?

答えは、労働基準監督署の是正指導と、運輸局への通報による行政処分のリスクです。令和7年の監督指導では、自動車運転者を使う4,123事業場のうち81.2%で労働基準関係法令の違反、53.1%で改善基準告示の違反が見つかっています。

厚生労働省が2026年8月6日に公表した結果では、改善基準告示の違反で多かった順は次のとおりです(厚生労働省 令和7年の監督指導、送検等の状況)。

  • 最大拘束時間の超過: 40.2%
  • 休息期間の不足: 28.3%
  • 総拘束時間(月・年)の超過: 27.4%

なぜ1日単位の違反が多いのでしょうか。上位2つは、どちらも「1日の終わり方」から生まれる違反です。荷待ちで終業が遅れ、翌朝の出庫時刻を変えないまま走ると、最大拘束時間と休息期間の両方を一度に割り込みます。

荷待ちの時間は、運転していなくても拘束時間に入ります。着荷主の都合で2時間待った日は、その2時間がそのまま1日13時間の枠を削る計算です。荷主との交渉材料にするためにも、待機の開始と終了の時刻は日報に分けて残しておくと後で使えます。

さらに厚生労働省は2026年9月15日、長時間労働が疑われる29,150事業場への監督指導結果を公表し、11月の過重労働解消キャンペーン期間中に重点的な監督指導を行うと示しました。毎年11月は、記録の出し方まで見られる月と考えておくと安全でしょう。

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「告示に罰則はない」の誤解

理由は、罰則の有無と処分の有無が別の話だからです。改善基準告示は法律ではなく大臣告示のため、告示そのものに罰則の条文はありません。一方で、違反が見つかれば労働基準監督署と国土交通省の地方運輸局の相互通報制度を通じ、貨物自動車運送事業法による行政処分につながります。

物流メディアのハコベルも、改善基準告示に直接の罰則はない一方、違反は車両停止や事業停止などの行政処分の対象になると整理しています(ハコベルの解説記事)。加えて、2024年4月からトラック運転者に適用された時間外労働の上限(年960時間)は労働基準法の規定で、こちらには罰則があります。

  • 告示の違反: 是正指導と運輸局への通報
  • 通報の後: 車両停止などの行政処分の可能性
  • 年960時間の超過: 労働基準法の罰則の対象

「罰則がないから後回し」と考えるより、「記録を出せないこと自体が指摘の入口になる」と捉えるほうが実態に近いはずです。拘束時間の記録は、運転日報やデジタコのデータから作れます。日報の管理方法の比べ方は運転日報アプリの選び方でまとめています。

運送業の労働時間管理をエクセルで回す20日点検

20日点検の目安は、月20日時点の累計拘束時間から月末の見込みを出し、284時間を超えそうな運転者だけ残り10日の配車を変えることです。エクセルなら、運転者ごとに3つの数字を入れるだけで計算できます。

  1. 20日時点の累計拘束時間を入れる
  2. 20日までの出勤日数で割り、1日平均を出す
  3. 1日平均に残りの出勤予定日数を掛けて足す
  4. 見込みが284時間を超える人に印を付ける
  5. 印の付いた人の長距離便と早出を入れ替える
【20日点検の試算式】
月末見込み = 【20日時点の累計拘束時間】 + 【累計 ÷ 20日までの出勤日数】 × 【残りの出勤予定日数】

計算例(出勤15日・累計200時間・残り出勤7日の運転者)
1日平均 = 200時間 ÷ 15日 = 約13.3時間
月末見込み = 200時間 + 13.3時間 × 7日 = 約293.3時間
判定: 284時間を約9.3時間超える見込み → 残り7日のうち3日を1日9時間の近距離便へ替える

休息期間も同じ表で見られます。終業時刻と翌日の始業時刻を横に並べ、差が9時間を切る日に色を付けるだけです。月の累計と1日の休息を1枚で見ておけば、上位の違反2つをまとめて防げます。

この例では、3日分を13.3時間から9時間へ下げると約12.9時間の短縮になり、見込みは約280.4時間まで下がります。1日の上限13時間に近い日が続く人ほど、月の上限にも先に届く点に注意しましょう。

この試算を毎月自動で出す仕組みを資料で見る

点呼の一部を補助者に任せている営業所では、補助者にも20日点検の数字を共有しておくと判断が速くなります。補助者に任せられる範囲は運行管理補助者と運行管理者の違いで確認できます。

手作業の集計が限界になる目安は何台から?

目安は、運転者20人前後です。1人あたり毎日3つの時刻(始業・終業・運転時間)を入れると、20人で月600件前後の入力になり、休みの調整や出庫時刻の変更も同じ表で追うことになります。

合同会社GYAKUTENの運送統合管理システムは、東翔運輸株式会社(43台・53名)の現場で実証しました。車両・ドライバー・休暇と勤務・出庫時間を1つの画面で管理した結果、管理業務は約50%削減、休暇調整の電話は約8割減っています(東翔運輸株式会社様の統合管理システム開発事例)。

  • 勤務と出庫時間が同じ画面で見える
  • 休暇の申請と調整を電話に頼らない
  • 点検や免許の期限を通知で知らせる

エクセルで十分な会社と、そうでない会社の差はどこにあるのでしょうか。分かれ目は台数より、勤務の組み替えが1日に何回起きるかです。急な欠勤や荷主からの時間変更が毎日のように入る営業所では、表の更新が追いつかず、20日点検の数字そのものが古くなります。

拘束時間の上限を守る作業は、結局のところ「誰が何時に出て、いつ休むか」を早く知ることに尽きます。表を人が集計する時間を減らせれば、20日点検で見つけた人の配車を替える時間が生まれます。

すぐ実践できる手順

  1. 今月の1日から昨日までの拘束時間を運転者ごとに合計する
  2. 20日点検の試算式で月末の見込みを出す
  3. 284時間を超えそうな人の長距離便と早出を入れ替える
  4. 休息期間9時間を割る日が無いか、終業と翌日の始業を並べて確かめる
  5. 11月の監督指導に備え、記録の保存場所を1か所にまとめる

自社の状況を、次の3つで確かめてみてください。

  • 運転者ごとの月の累計拘束時間を、月の途中で出せない
  • 終業から翌日の始業まで9時間あるか、表で確かめていない
  • 休みの調整と出庫時刻の変更を、電話とメモで回している

次のどれか1つでも当てはまるなら、まずは無料ヒアリングで自社の台数と勤務の組み方をお聞かせください。運送統合管理システムは初期費用0円、月額3万円から(20台まで・税込)で、車両とドライバーは無制限に登録できます。最短3日で使い始められ、研修は30分です。

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まとめ

改善基準告示では、トラックの拘束時間は原則1か月284時間・1年3,300時間・1日13時間までです。監督指導では最大拘束時間と休息期間の違反が多く、告示に罰則の条文が無くても行政処分につながります。

月末に締めてから気づくのでは、配車を替える余地が残っていません。明日の朝は、運転者ごとの今月の累計拘束時間を1枚の表に書き出すところから始めてください。

参考文献・出典

制作: 合同会社GYAKUTEN編集部(生成AIで下書きを作成し、出典を確認して公開)/会社・代表プロフィール

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この記事を書いた人

中山 蒼
この記事を書いた人
中山 蒼(合同会社GYAKUTEN 代表社員)

中小企業のWeb制作・業務システム開発・AI検索対策(LLMO)を、診断から実装・運用まで一貫して手がけています。 運送業向けの統合管理システムでは、現場の運用に入り込んで設計するところから携わりました。

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