求人広告に月20万円かけても、応募は0件。ドライバー不足の対策を調べるほど打ち手のリストは増えるのに、現場の人手は一向に増えない——多くの中小運送の現場で、いま起きていることです。
なぜ求人だけでは埋まらないのでしょうか。結論からお伝えすると、次の一手は求人媒体の追加ではなく、いま在籍しているドライバーを辞めさせない仕組みづくりです。そのほうが早く、安く、確実に効きます。
2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多、うち道路貨物運送業は55件で全業種最多でした(帝国データバンク)。本記事では、離職1人分の損失がわかる「離職コスト先読み式」と、辞めない会社に変える「定着3レバー」、その実行順を解説します。
この記事でわかること
- 採用を増やしても欠員が埋まらない、順番の構造的な問題
- 離職1人あたりの損失額を自社の数字で出す「離職コスト先読み式」
- 休み・時間・見通しで辞めない会社に変える「定着3レバー」
- 定着を固めたあとに効く求人の直し方と、今月からの実行順
ドライバー不足の対策は何から始めるべき?
最初の一手は、新しい求人ではなく、いま働いているドライバーの離職を止めることです。欠員1人の補充には本記事の試算で約95万円かかる一方、離職防止は休暇調整の仕組み化など、今月から低コストで着手できます。
ドライバー不足対策とは、採用・定着・省人化の3方向から輸送力の穴を埋める取り組みの総称である。このうち多くの会社が、予算と時間を採用だけに集中させています。
しかし供給側の現実は厳しい状況です。NX総合研究所が2023年に公表した推計では、2030年度に営業用トラックの輸送能力は34.1%(9.4億トン相当)不足し、ドライバーの不足数は21万4,086人に達する見込みです(LOGISTICS TODAY)。募集をかければ人が来る前提は、もう成り立たないと考えるべき局面と言えます。
採れない前提に立つと、キーワードは「順番」。優先順位は、①辞めさせない、②1人あたりの負担を軽くする、③それから採る、の順です。この順番が本記事の背骨になります。
なぜ運送会社の欠員は埋まらない?2026年の数字が示す現実
2026年7月時点で、運送業の人手不足は採用力の差ではなく、構造の問題になっています。まず数字を確認しましょう。
指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
人手不足倒産(2025年度・全業種) | 441件(過去最多) | 帝国データバンク |
うち道路貨物運送業 | 55件(全業種最多・約12.5%) | 帝国データバンク |
道路貨物運送業の倒産全体(2025年度) | 321件 | 帝国データバンク |
2030年度の輸送能力の不足(推計) | 34.1%(9.4億トン) | NX総合研究所 |
帝国データバンクの調査では、2025年度の人手不足倒産441件のうち道路貨物運送業が55件と全業種で最も多く、2025年度上半期だけでも前年同期の19件から33件へ急増しました(帝国データバンク 2026年4月)。
注目すべきは、これが「仕事がない倒産」ではない点です。荷物はあるのに、運ぶ人だけがいない状態。欠員は残った社員の負担になり、その負担がさらなる離職を呼びます。この悪循環が進むと、黒字のまま事業継続を断念する会社さえ出てきます。悪循環の先にある結末は潰れる運送会社の特徴7つで詳しく解説していますが、人手の穴はその入り口にあたります。
採用強化より先に、離職を止める——求人費がザルになる構造
検索上位の解説記事の多くは、賃金や労働時間など労働条件の改善と、女性採用など入口を広げる施策を対策の中心に据えています。方向は正しいと考えます。ただ、20台規模の会社が採用側から始めると、底に穴が空いたバケツへ水を注ぐ構造にはまります。
では、離職1人でいくら失うのでしょうか?計算例を示すと、媒体費が月20万円×3ヶ月=60万円、同乗研修など教育期間の人件費が25万円×1ヶ月=25万円、欠員カバーの傭車・外注費が10万円×1ヶ月=10万円。合計で60万円+25万円+10万円=95万円が、離職1人の「見えない請求書」です。
【離職コスト先読み式】
離職コスト = A(採用費:媒体費+紹介手数料) + B(教育コスト:同乗・研修期間の人件費) + C(欠員カバー費:傭車・外注・残業の追加支出)
計算例(20台規模): A=60万円、B=25万円、C=10万円 → 60万円+25万円+10万円=95万円
自社の数字: A=[ ]万円 + B=[ ]万円 + C=[ ]万円 = [ ]万円
この式に自社の実数を入れると、感覚よりひと桁大きい数字が出るはずです。計算例のままなら、年に2人の離職で95万円×2人=190万円の損失。同じ金額を辞めない仕組みへ回せば、休暇調整のシステム化まで含めておつりが来る計算です。人手不足倒産が道路貨物運送業に集中している事実(帝国データバンク)は、離職を放置した会社から順に市場を退場していることの裏づけとも読めます。
辞めない会社に変える「定着3レバー」——休み・時間・見通し
中小の現場で離職につながりやすいのは、給与額そのものより「休めない」「拘束が長い」「先が見えない」の3つです。そこで、定着の打ち手を3本のレバーに整理しました。名づけて「定着3レバー」。上にあるレバーほど、費用対効果が高い並びです。
レバー1:休み——休暇調整を「電話と紙」から仕組みに変える
最初に引くべきは休みのレバーです。希望休が通らない、代わりに乗る人を自分で探させられる——この状態が続くと、真面目な人から順に辞めていきます。
実例があります。車両43台・ドライバー53人の東翔運輸株式会社では、車両・勤怠・休暇を一元管理する仕組みへ切り替え、休暇調整の電話が約8割減り、管理業務全体も約50%削減されました(東翔運輸株式会社の統合管理システム導入事例)。
ポイントは「希望を出す→調整する→確定を伝える」の3工程を、電話から画面上の共有へ置き換えたことです。休暇の希望が特定の時期に集中する会社ほど、仕組み化の効果は大きく出ます。
レバー2:時間——夜間と待機の負担を削る
2つ目は時間のレバーです。夜間の点呼対応や荷待ちのような「運転以外の拘束」は、疲労と不満が最もたまりやすい部分。ここを削ると、同じ給与でも働きやすさの体感が大きく変わります。
着手しやすいのは、出庫時間・点呼・勤務の記録をひとつの画面にまとめ、誰がいつ空くかを見える化することです。配車の口頭確認や事務所への折り返し電話が減るだけで、ドライバーの1日の拘束は着実に短くなります。
レバー3:見通し——評価と労働条件を数字で開示する
3つ目は見通しのレバーです。「来年も同じ働き方なのか」「頑張りは反映されるのか」が見えない職場は、条件が同等でも選ばれません。走行距離や無事故期間など、すでに社内にあるデータを月1回開示するだけでも、見てもらえているという実感は大きく変わります。
この3本のレバーを支える土台になるのが、車両・ドライバー・休暇・出庫時間を1つにまとめる運送統合管理システムのような仕組みです。
求人はそれから|応募が来る会社が先に整えているもの
定着の仕組みが回りはじめたら、いよいよ採用です。順番を守った会社の求人票の決め手は、条件の見える化。「休みが取れる」と言葉で書くのではなく、休みが取れる根拠を数字で書けることです。
「アットホームな職場です」という一文より、「休暇希望は画面から申請、調整の電話はほぼゼロ」という事実のほうが、経験者には響きます。女性やシニアの応募を増やしたい場合も、勤務・休暇の管理が仕組み化されている事実そのものが安心材料になります。
前述の東翔運輸株式会社では、操作研修は約30分で、60代のドライバーも導入当日から使いはじめました。「うちはデジタルに不慣れな人が多いから」という理由で、仕組み化を後回しにする必要はありません。
合同会社GYAKUTENの運送統合管理システムは、初期費用0円・月額3万円〜(20台まで月額3万円、税込・最低6ヶ月)で、車両・ドライバー・休暇/勤務・出庫時間・通知・稼働の6機能を、台数・人数無制限で一元管理できます。導入は最短3日。まずは資料請求(無料)で機能と料金をご確認ください。
すぐ実践できる手順
- 直近12ヶ月に辞めたドライバーの人数と理由を書き出す(所要30分)
- 「離職コスト先読み式」に自社の数字を入れ、損失額を経営数字として把握する
- 休暇希望の集め方を、電話・口頭から、フォームや共有表など記録が残る形に変える
- 出庫時間・点呼・勤務の記録を1画面に集約できるか、いまのツールを棚卸しする
- 求人票に「休暇申請の仕組み」と「調整電話の少なさ」を数字で書き足す
仕上げに、自社の現在地を3項目でチェックしましょう。
- 休暇希望の何割が希望どおり通っているか、即答できない
- 離職1人あたりの損失額を、これまで計算したことがない
- 配車・休暇・点呼の調整が、特定の1人の記憶と電話に依存している
1つでも当てはまるなら、根性ではなく仕組みで解決できる段階です。初期費用0円で始められる運送統合管理システムの詳細を確認のうえ、まずはお問い合わせで現状の運用をご相談ください。
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まとめ
ドライバー不足の対策は、求人の強化から始めると穴の空いたバケツに水を注ぐ結果になりがちです。先に止めるべきは離職です。そのための道具が「離職コスト先読み式」と「定着3レバー」でした。
2025年度、人手不足倒産の最多業種になった運送業界。それでも、休暇調整の電話を約8割減らした会社は現実に存在します。数字で現状を把握し、休み・時間・見通しの順にレバーを引けば、20台規模でも辞めない会社への転換は今月から始められます。
参考文献・出典
- 帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年度)」(参照日: 2026年7月27日)
- LNEWS「人手不足倒産/25年度上期過去最高、道路貨物運送業等で増加目立つ」(参照日: 2026年7月27日)
- LOGISTICS TODAY「30年度のトラック輸送能力34.1%不足、NX総研推計」(参照日: 2026年7月27日)
- NX総合研究所「物流の2024年問題の影響について」(経済産業省 検討会資料)(参照日: 2026年7月27日)
トレンド調査: Googleトレンド急上昇RSS(日本)と、Googleオートコンプリート(運賃・配車・点呼・運行管理・車両管理・ドライバー不足の6語+深掘り4語)を2026年7月27日に実施し、「ドライバー不足 対策」「ドライバー 定着率」などの検索需要を確認したうえで本記事を設計しました。
執筆・運営: 合同会社GYAKUTEN(gyaku-ten.jp)|中小企業の逆転を支援
